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日経産業新聞にて、12月18~21日に「よみがえるか 日本の電機 薄型テレビの蹉跌」と題したシリーズ記事が掲載された。

70年代から90年代まで日本の電機産業は他国企業とのとの競争は事実上なかった。00年代から事情が変化したことは薄々感じてはいた。記事を読んで、より実像に近づけたようだ。

シリーズ記事の中でも、20日掲載の液晶装置製造メーカーのアルパック社元社長中村久三氏へのインタビュー記事が参考になる。同氏によると、00年代初め頃、日本のテレビメーカーが台湾のEMSメーカーに生産委託を始めたのがきっかけという。韓台メーカーが日本の退職技術者を取り込み技術を取り込んだとある。日本のテレビメーカーの凋落の原因はEMSと行って良いだろう。

次の同氏の発言は気になる。

 「国家予算を元手に赤字でも無尽蔵に投資し続ける中国には勝てない。韓国や台湾もいずれ中国に座を明け渡すだろう」」

まだ韓台メーカーも、製品のコモディティー化に資しているだけで、日本メーカーが引いた軌道にある。新しい軌道を引くのはやはり日本メーカーの役割であり、そこに日本液晶テレビメーカーの復活の糸口がある。ただ数年前に仕掛けた「3Dテレビ」は不発であった。「スマートテレビ」は果たしてどうだろうか。この分野ではアップルも参入するという話である。

なお、製品のコモディティー化による価格競争を避ける武器として“デザイン力”がある。このテーマについては、別途述べる。
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私はスピード重視の欧米型経営に対し、中長期を重視する「亀」経営を日本型経営のモデルとして、事例収集している。「短期は5年、長期は100年」と語る航空機部品メーカー和田製作所代表取締役の和田典之彦氏などがいる。

今回紹介するのは、幸楽苑社長の新井田傳氏。ご存知ラーメン店であるが、原則として直営方式で店舗数を500までにした。「経営は人を育ててなんぼの世界」で、FC店展開は「虚業」と語る。確かに、日本には欧米に比べ100年を越える寿命の企業が圧倒的に多いが、「人を育てる」経営なしに実現できないことである。

ラーメン業界は、他の業界に比べ寡占化は進んでいない、と語る。ファミレスやハンバーガー業界に比べ、ラーメン業界は83%が個人規模の店だという。

幸楽苑の武器はコミッサリー(食品加工工場)という。セントラルキッチンに比べ自動化しやすく、小田原の工場では、1日に12万食生産するが、要員はたったの3人という。


目標は「ラーメン界のマック」という。マクドナルドは、「低価格」、「一定した品質」、「サービス品質の高さ」、そして「清潔感」の4つの強みを持つ。それをラーメン業界で実現したいという。今年7月にタイに出店し、5~6年で100店を目指すという。

飲食サービス業の「亀」経営実践者として記憶にとどめたい。以上は、日経ビジネス誌11.26.2012号記事「編集長インタビュー」欄より。
PDCA(計画→実行→評価→改善)は経営の基本である。単純な作業でも段取りを考えずに始めると失敗する。一人で行う場合にでも、である。複数の人間が関与する組織活動にあっては、段取り(計画)なしには、業務遂行はできない。段取りがあったも、中間の作業品質が水準以上でなければ物事は達成されない。途中で評価してみて、必要なら修正する作業がひつようである。

この意味で、PDCAは経営の基本である。ここで、次世代リーダー育成を業としているインディゴブルー社長の柴田励司氏の言葉を紹介しよう。

 「会社全体の目線で見ると、計画の前に『ビジョン』と『資金調達』、改善の後に『報酬』と『学習』がある」
  (日経産業新聞12.18.2012付け「VB経営 虎の巻」)

全社レベルの経営計画で忘れてはならないことである。

12月14日付け日経産業記事から。

三菱航空機が、米スカイウェストからMRJ100機のオプション受注した、と発表した。権利行使により、100機で42億ドル(約3500億円)規模。これで受注数は330機(内確定分は170機)となり採算ラインとされる400~500機に近づいた。

来年秋に初飛行し、初号機引き渡しは15年夏頃を予定している、とのこと。

MRJが順調な離陸を迎えるか、日本製造業の底力が試される。
これまでの調査で、航空機の基幹部品であるエンジン部材が更改期にある事情が分かってきた。日経産業12.5.2012に、「セラミック繊維 宇部興産、耐熱性1600度超 質量、合金の1/3に軽く」との記事が掲載されていた。

「チラノ繊維」と呼ぶ。90年代の後半に、すでに宇部市に生産施設が稼働しており、現在では年10万トンの生産能力がある。米国のエンジンメーカーにサンプル品を出荷しており、次世代航空機部品への採用が検討されている模様。採用されれば、また航空機に占める日本製の比率が高まることになる。

宇部興産は、航空機・宇宙分野向けに高機能素材の開発・販売活動を本格化とある。耐熱性が高い素材は、地上ではエンジン部品くらいかも知れないが、宇宙ではロケットエンジンや、ISSとの往還機の耐熱材などに用途が広がると思われる。
今朝の日経朝刊(12.2.2012)に、下記の記事が掲載されている。
 日経朝刊(12.2.2012) 「帝人、米でGMに供給 車向け炭素繊維量産 300億円投資」

加工が難しいと言われているが、帝人は、炭素繊維を自動車部品に1分以内で成形する技術を確立したという。従来に比べ10分の1程度に短縮した。

その他炭素繊維に関する記述を次に挙げる。
(1) 業界推定によると、炭素繊維は、20年に現在の4倍程度に成長する。用途は「一般産業用途(自動車部品など)」、「航空機・宇宙用途」、「(ゴルフシャフトなど)スポーツ用途」の三種類に分かれるが、一般産業用途の伸び一番大きい。
(2) 炭素繊維の生産能力は、東レが世界シェアの3割、帝人が2割、三菱レーヨンが1割を占め、日本企業が世界の6割のシェアを占める。
(3) 帝人の新技術により、炭素繊維の生産コストは、これまでの鉄の数十倍から2倍弱まで縮まる見込み。

生産コストが鉄の2倍弱となるのは素晴らしい。

プロフィール

小田澄男

Author:小田澄男
経営コンサルタント。ソフトウェア技術者出身で、“経営”と“技術”が分かることが強み。1972年より大手コンピュータ企業にて、ソフトウェア技術、ソフトウェアの企画開発、市場調査、技術調査などの業務を経験し、1999年10月に独立し、エーエムティ研究所代表。09年より一般社団法人城西コンサルタントグループ副会長。中小企業診断士情報部門登録(1987年)、情報処理特種技術者(1983年)。

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